現在高校生の方や、将来心理職に就きたいと考えている方の中には、大学で心理学を学ぼうと思っている人もいるかと思います。
また高校生の中には心理学というものがよく分かってなく、「なんとなく面白そうだから」という理由で進学を考えている人もいるかと思います。
実際私もそういうところがありました。
この記事では、そんななんとなくで進学を考えている方や、興味はあるけど将来のことなど不安があるという方のために心理学とは何か、大学の心理学でどんなことが学べるのかを解説していきます。
※本記事ではあくまで私が卒業した大学の心理学科を参考に解説させていただきます。大学によってカリキュラムなどが異なるところもあるので、進学を考える場合は、その大学についてしっかりと調べるようにしてください。
そもそも心理学って?
心理学と聞くと皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
私が学生時代に心理学科に通っていると知人に言うと、「メンタリスト?」や「相手の心読めるの?」というようなことをよく言われました。
はっきり言って心理学科に通っても、また心理学の教授であっても相手の心を読めるようなことはありません。
テレビなどのメンタリズムはあくまで心理学を応用したパフォーマンスであり、心理学を学んだからといって一長一短に身につくわけではないのです。
では心理学とは何か。
それは「心を科学的に検証する学問」だと言えます。
具体的には、実際に実験や調査を行い、そこで得られたデータをもとに多くの人にみられる共通点を調べるというものになります。
あくまで心理学は心の傾向を調べるものであり、化学実験などのような毎回必ず同じ結果が得られるということはありません。
この再現性のなさというのは、他の学問にはない心理学特有のものかもしれませんね。
様々な心理学
心理学と一概に言ってもその中には様々なものがあります。
はじめに大きく別れるのが基礎心理学と応用心理学です。
基礎心理学は人の心を科学的に解明するものであり、その知識をもとに社会などで役立てていくのが応用心理学になります。
基礎心理学では以下のような分野があります。
- 社会心理学
- 学習心理学
- 生理心理学
- 発達心理学 など
また応用心理学では以下のような分野があります。
- 臨床心理学
- 犯罪心理学
- 産業心理学
- 認知心理学 など
これらはそれぞれの一部にすぎません。
心理学の分野は非常に多くあり、またどれも非常に奥が深くなっています。
例えば社会心理学は、社会(集団)が人の心に与える影響について考える分野になります。
皆さんは赤信号で止まっているときに、他の人が信号を無視し、渡っているのを見て自身も渡ったことなどはありませんか?
これは1人のときにはやらなかったことを周りがやっているなら大丈夫だと、考えが変わったために起こると言えます。
つまり行動(心)が変化しているのです。
こういった社会と個人の影響が社会心理学のテーマになっています。
大学での心理学
では具体的に大学ではどのようなことを学んでいくのか、学年別にみていきましょう。(大学ごとにカリキュラムが違うのであくまでイメージを膨らませるものにしてください。大学ごとに学びたい分野があるかしっかりと調べましょう)
1年生
心理学全体における基礎的になることを中心に学びます。
また各分野の基礎的なところも学ぶことになります。
- 心理学概論(心理学の概要を広く浅く)
- 心理学史(心理学の歴史)
- 社会心理学Ⅰ(社会心理学の基礎)
- 臨床心理学Ⅰ(臨床心理学の基礎) など
2年生
1年生で習わなかった基礎的なことに加え、専門的なことを学んでいくことになります。
また実験なども行い、レポートを作成したりもします。
- 発達心理学Ⅰ(発達心理学の基礎)
- 社会心理学Ⅱ(専門的な社会心理学、また応用)
- 心理実験演習(心理実験を行いレポートの作成)
- 心理統計学(研究に必要な統計学) など
3年生
2年生で学べなかった分野や、より詳しく知りたい分野を学んでいくことになります。
また卒業論文に向けてテーマを探す時期でもあります。
ここまでで学んだことから自分のやりたいことをみつけましょう。
- 犯罪心理学
- 生理心理学
- ゼミⅠ,Ⅱ(卒論に向けて論文を収集、テーマ決め) など
4年生
ほとんどの学生は残りは卒論だけという時期です。
3年生で探したテーマをもとに実験や調査を行い、卒論を書くことになります。
- ゼミⅢ,Ⅳ(卒論のための実験または調査、卒論の作成) など
大学では高校と違い自身で受けたい授業を選ぶことになるので、自身が学びたい授業を考えて選ぶようにしましょう。
心理資格
心理学には様々な資格があります。
その中でも今から心理職に就くために取っておきたいものが公認心理師になります。
公認心理師
現状(2021/10/23)唯一の心理系の国家資格になります。
2017年9月に施行された比較的新しい資格です。
今後心理職に就くには必須になる可能性もあるため、今から心理職を志す人はなるべく取得を目指すのが良いでしょう。
受験資格取得には大学そして大学院で定められた科目を修めるか、特定の施設での2年以上の実務経験が必要になります。
取得を目指す方は定められた科目を修めることができる大学を選ぶようにしましょう。
卒業後の進路
心理学科を卒業する人の大半は一般企業に就職することになります。
大学院にいく人は数%ほどのかなり少数になってきます。
また就職する人の業界は、情報系から金融業、小売業など本当に幅広い分野になります。
現状、心理職に就きたい人が進学、そうでなければ就職という感じになっています。
心理学を学ぼうか迷っている方へ
心理学とは「心を科学的に検証する学問」です。
様々な分野に分かれており、様々な研究があります。
その中にはあなたが興味のある分野もあるでしょう。
またこれから興味が出てくる分野もあるかもしれません。
学んでみたら意外と面白いなんて言うこともよくあります。
そんな興味のある分野をぜひ見つけてほしいと私は思っています。
正直、心理学科は心理職に就くのでなければあまり就職に有利ではありません。
それでも私は心理学科を学んだことを後悔はしていません。
人の心について考える時間はとても有意義だったと思います。
心理学を学ぼうか迷っていた方の肩を、この記事を読むことで少しでも押せたのなら幸いです。
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